指導のキモ チームづくり

堺Jボーイズ 中学部 監督  植村 真也 

 自分たちがやってきた、昔の根性野球を押し付けようとは、思わない。それには、現代っ子には、まず野球をやって、野球を楽しみ、好きになってほしい。
 まだ、上手くない選手に、強くなるための野球、ぎりぎり追い詰める野球を教えられない。ゴロも取れない選手に無理に、強いノックを打っても無駄。ボールを捕れる基礎を身につけてから、捕れる様になった→上手くなったという喜びを実感して、もっと上手くなりたいという欲求をださせる練習が基本。

 とはいうものの、最低限の「根性」と集中力は、中学のうちに身につけてほしい。ご存知の方もおられると思うが高校の寮生活やクラブ活動は、そんなに甘くはない。昔も今も、時には、事件が起こっていることからもわかる。
 高校生活で、厳しさに打ち勝つには、一般的な精神力の強さや日常の生活能力、野球が楽しくて夢中になるということが、不可欠である。
 また、技術面からみても、例えば攻撃で、9回裏2死満塁、1点ビハインドの場面を想像してほしい。この場面、戦術や戦略といっても、通用しない。最後の最後は、振りぬけ、おもっいきり行けということに尽きてしまう。この時に、必要なのは、集中力と精神的なタフさである。

 とかく、チームの基礎ができていない時は、守りを中心に鍛えてしまいがち。うちのようにまだ発展途上のチームとしっかり基本ができているチームとが対戦した場合、守りで1〜2点に押さえ、バントで1点をほしがっても、いい試合になることは想像し難い。守り中心とは、追い詰める野球を追及するに他ならないと考える。
 中学、高校は、金属バットを使うので、バッティングは、練習すればするほど向上する。私も厳しい守備練習をして、上手くなったと思うが、練習といえば、バッティングの記憶しかない。
 だから、練習は、守備とバッティングの比率を4.5対5.5と考えて、選手には、とにかくバットを振りぬいて、振りぬきなさいと指導している。バットが思うように振れないうちは、置きティーやソフトボールを打つ練習を多く指導している。
 

 中学生でも高校生でも、心身ともに成長の過程だから、まだ、フォームやスタイルができていない。
 この時期は、とにかくやることが大事。とくに野球は、技術系のスポーツなので、反復練習が重要。守備も打撃もとにかく、色んなことを繰り返しやること。絶対上手くなるもの。もちろん、野球は、ゲームにでないと覚えられないことが多いので、基本を学びつつ練習試合は、すべての選手を使いたいと考えている。
 しかし、現実には、競争が必要。いつでも試合に出られる感覚を持たれて失敗したことも経験した。
 練習試合では、第一試合を勝ちぐせをつけるための試合と位置付け、レギュラー戦と同じメンバーで戦い、2試合目は普段出ていない選手を使い、甘えたりだれたりしたら交替。また、レギュラー組でも怠慢なプレーなどをすれば出さないなど、常時、レギュラー組との入れ替えをしながら、緊張感を持たせ、すべての選手がやる気を失わず前向きに競争することを意図している。
 また、設立当初、部員は、各学年7〜9名が理想と考えていたが、設立から3年間の経験から、中学生の身体は心身ともに成長途上で故障者も多く、人数が足りないとどうしても使い過ぎて故障するという悪循環も経験し、さらに選手間の競争も必要であり、理想の部員数は、1学年20人程度と考えるようになった。。

 新チームのよさは、全てがまっさら、これからジャガーズ色を描いていける。また、スタート期は、選手にとっても、より密度の濃い練習ができること。さらに言えば、野球は、試合に出てなんぼの世界であることも確かであり、とくに創設期は全ての選手が即戦力といえること。もちろん基本は、徹底的にやるが同時に試合感も身につけてほしい。
 最終的には、中学の2年半で、高校野球で通用する選手を育てること。もちろん、礼儀や生活力も必要であり、学んでほしい。
 その過程で、年によっては、「上手くなる野球」から「強くなる野球」=1点2点を争える、強豪とも勝ち負けできる、ぎりぎり追い詰める野球を指導する時期もくると思うが、焦らずにチームづくりを担っていきたいし、野球を続けられる環境を創っていきたい。