総論1 ギブアップ地点 リメイク版  
 2013年となりました。チーム創設6年目を迎えようとしています。球団が存続する喜びを新年に祝い、また、野球を続けることのできる選手への祝福と願いを述べたいと思います。
 以前、ギブアップ宣言はアップしていたのですが、更新の手違いでファイルそのものがなくなってしまい、このコーナーから削除されたままになっていました。細かい内容は忘れてしまったのですが、ある高校生の保護者と話をしていて、ギブアップ宣言はまだまだ、出すなと諭したり、また、以前書いたことが現実になりかけています。松井選手の引退や年末のNHK特集を見てイチローだって限界があり、引退を余儀なくされることを改めて思い知らされたので、リメイク版として掲載したいと思います。

人は限界を感じるもの。たとえ中学生だって、同じこと???
 私が、このチームを作ったきっかけは、ある小学部の親御さんからの要請でした。小学部を卒団して中学になって野球を辞める子どもが多く、非行に走ったり、高校に行かなくなったりした現状から、中学生になっても野球を続けてほしい、辞めさせるのではなく続けることのできるチームを作ってほしいという言葉が始まりでした。
 しかし、現実には、Jボーイズでも途中で辞めたり、高校を辞めたり、高校で野球をしない選手が出ています。色々理由は考えられるのですが、一般的に多くの子どもたちは、レギュラーになれなかったり、ボーイズリーグのチーム内、他チームの選手と比べて、素質がないとか、もう、無理、しんどい練習をなんぼやっても自分は、通用しないと感じて辞めて行くのではないでしょうか?
 人は限界を感じるものだし、そう思い込むことも無理はないと。体力がない、どんくさい、足が遅い、センスがないと嘆いてしまっているのではないでしょうか?しかし、ほんとうにそうでしょうか?まだ、中学生ですよ。
 私は違うと思っています。確かに、プロのレベルになるには、野球で飯が食える選手になるには、3拍子がない選手はきついです。センスも努力も必要になってくるでしょう。

野球は積み重ねが大切 継続していれば、必ず技術はつく
 私の考えは、野球は技術が必要なスポーツです。確かにセンスの良い子どもは覚えが早く、応用もできます。だけど、野球というスポーツは少々、どんくさくっても真面目にコツコツやっていれば、うまくなってきます。小学校の頃から数年かけて、高校でも十分通用できる選手にはなってくるものです。これは、私の信念で、間違っていないと考えています。昔は、俗にいう「運動神経の良い」子どもが野球に集まってきました。今は、トップレベルの高校を除いて、中堅クラスの高校以下では、スポーツの成績が必ずしも良くないという事実を知っていますか?では、なぜ、野球が成り立っているのか。それは、小学校から毎日のように練習してきたから、技術とは、その積み重ねである程度までは何とかなっていくからです。

 だから、あきらめることはないのです。これは、私の信念です。ただ、私だけではなく多くの指導者が言うように、選手はどこで、どの時期に成長するのかはわからないのです。プロ野球選手の中にも高校卒業まで、まったくの無名の選手も多くいます。実業団では、30歳を過ぎて上手くなる選手もいると聞きます。
 要は、あきらめずに継続していくことが大切であることがわかります。

ギブアップ地点
 だけど、その継続することが目先の感覚でやっていると無駄と思い込んでしまう時があります。野球に限らず、人生も同じで、誰もが、もうこれ以上できないと自分でギブアップしてしまう、その地点をギブアップ地点と呼んでいます。ギブアップ地点とは、自分で決めてしまっているのです。
 私は、選手に時々話しますが、中学生でギブアップ地点はないやろ。どれだけ努力したのか、楽天の野村前監督は、楽天就任の秋のキャンプで「イチローは天才だが、君ら以上に努力している。天才が努力するから追いつけない。どれだけ、素振りをしたのか、どれだけ人より努力したのか、限界まで努力したのか、その努力をした後、結果がでない時に引退を考えろ」と檄を飛ばしたと言います。プロの選手でも言われているのです。まして、中学生でどれだけの時間野球の練習をしたのでしょうか?ここで、限界を感じるというのがいかに間違いであるかがわかると思います。

ギブアップ地点は自分で決めるのではない。イチローだって引退の時期が必ずやってくる。 
 昨年、ヤンキースに電撃移籍したイチロー選手は、歳による衰えが噂され、引退の道を考えていることが、年末のNHK特集を見てわかりました。野球選手というものは、いずれは引退するものであり、相手からいらないと言われる時が絶対に訪れます。松井選手だって、メジャーからのオファー・誘いがなく、引退を余儀なくされました。
 私は、ギブアップ地点を早々と自分で見つけるのではなく、チームからいらないよと言われるまでは、続けてほしいと思っています。例えば、高校でも3年生になったら学生コーチや引退をチームから告げられます。大学で野球をしたいと言っても、大学がとってくれなければ、なかなか野球を続けることは難しくなってきます。それでも、一般で入部できる学校であれば、野球を続けられますが、大学の場合、多くの学校は一般の選手を相手にしてくれないと聞きます。その場合は、野球をしたくてもできなくなるのです。もちろん、高校に入学できなければ、高校野球はできません。
 つまり、自分が野球を続けたいと言ってもできなくなっていくのです。だからこそ、自分で自分の野球人生を断たないでほしいのです。やり続けられる環境にあれば、ギブアップ地点は、努力のもっと先にあると信じてやみません。

継続は力であり、努力に勝るものはない 
 高校野球までは、努力すること、継続してやっていくことが重要であり、このクラスでは十分、通用すると思っています。自分の限界を感じる前に努力してほしい。高校でも野球をやってほしいと願っています。
 うちのチームでは、第4期生まで入団した選手の数は、41名。そのうち、高校で野球を続けた選手は17名です。6割が野球を辞めてしまったのが、現状です。せっかくボーイズに入部したのです。できれば、8割以上が、せめて高校3年間は、野球を続けてほしいと思っています。

 5期生が今、高校入試のまっただ中であり、彼らもまた、野球部に入部してほしいと思っています。レギュラーになれなくたっていいんです。どんくさくたっていいのです。上には上がいることを知って、それでも努力することが、きっと、いい思い出にもなると、今後の人生の糧になると思います。

 継続は力であり、努力に勝るものはないのです。ギブアップ地点は自分が決めるのですが、野球の場合は相手から迫られるまでは、野球を続けることのできる喜びを感じてほしいと思います。

 6年目の元旦に思いを寄せてしまいました。Jボーイズあらため堺ボーイズとなっても、今後も辞めたいという選手が出ても、決してギブアップ地点ではないと粘り強く助言、指導していきたいと思います。指導者、保護者の皆様もそのつもりで、ご協力のほどよろしくお願いします。