チームカルテ9 負けに不思議の負けなし・・・  
 2013年2月23日、全国春季大会の支部予選がありました。対戦相手は、西成ボーイズ。ともにチーム名から愛称をとって変更して初めての戦いです。悔しすぎるというか後に引きずってはいけないと思い、さらに、敗戦の原因を私なりに分析した結果、私の大好きな理論家、野村克也氏の名言で一番大好きな言葉「負けに不思議の負けなし」負けるべくして負けたと実感しました。


Jボーイズ大会初参加は、西成ハンターズ、ここからのスタートでした
 堺ボーイズは、今から6年前に2人の同好会からスタートしました。この二人とは、植村監督の長男で中学になるまで野球をやっていなかったのと私の愚息は、運動音痴、小学部当時リーグ1の「ど下手」でしたので、どうなるのかという周りの反対を押し切っての船出でした。
 もちろん、三部さんなど応援してくれて協力してくれる方がいて、チーム創設期を終えることができましたが、今から思うと大変な船出であったことは間違いありません。
 そんな中で転機が訪れたのが、翌年の2008年、河内長野方面から4人の選手が集まったからです。それで、一気に14人でチーム成立して「堺南Jボーイズ中学部」が誕生しました。
 この年は、誕生まもないためローカル大会は、和歌山大会しか参加できず、大会と言えば、連盟主催の3大会が唯一の公式戦でした。
 初の大会参加は、忘れもしません。全国選手権大会支部予選です。浜寺公園bQグランドで、その時の対戦相手こそ、名門、西成ハンターズです。うちは、わずか数カ月の練習で3年1人と2年生と1年生です。上級生で鍛え上げたチームに勝つわけはありません。

 試合前に、理事が「どうや、試合になるか?行けるか」と不安げに声をかけてくれました。それもそのはず、当時の小学部・堺南ジャガーズは、最弱で、そのメンバーたちをイメージして0対20とかの試合にならんかという気持ちだったのでしょう。私は、大会会場で私たちの前の試合を見ていたので、0対9でチーム名はわかりませんが、まけたチームもあり、その試合と同じように「0対9」くらい違いますか?と答えました。それぐらいはできると実感してましたから。

 で、私の愚息が先発しました。ホームラン2発を打たれ、うちのヒットは、キャプテン田端の1本のみ。かろうじてノーヒットノーランを免れましたが、結果は、0対8の5回コールド負けでした。理事は笑って「ほんまやな」と言ってくれたのが今も記憶に残っています。手も足も出なかったですが、報知新聞にも載り鮮明に覚えている初大会参加でした。

二度目の対戦
 今年の支部予選、名称変更で迎えた初の大会。名門西成ハンターズも同じく愛称をとった初大会。対戦相手が決定したその日、西成の土井監督からチームにメールをいただきました。何か縁を感じると感慨がわいてきました。しかも、土井監督は大会で2回目の対戦だということを覚えてくれていたことに感謝と感激しました。
 このメールをいただいた時、恩返しのつもりで絶対に勝ちたいとの思いが強く芽生えました。しかし、結果は敗退。「負けに不思議の負けなし」完敗でした。西成のチーム、選手は点が入るたび、歓喜に包まれていました。野球ができる喜びというか、緊張の中にも野球を楽しんでいると感じさせるものがあり、監督も選手たちを信じていました。ここに大きな違いがありました。

今回の敗因 負けるべくして負けたわけ
 普段は、敗因について選手個人を攻めることは、しません。しかし、今日の試合は、言わせてもらいます。この文章を読んで自分なりに今後の練習方法や試合を想定して何をなすべきかを突き詰めて、練習してほしいと思います。そして、野球を真に楽しんでほしい。スリリングな展開を楽しんでその緊張を楽しみ、プレーしてほしいと思います。
 今年度のチームは、1年生4人がレギュラーで臨みました。はっきり言って2年生だけでの構成では、試合にならないからです。普段の練習試合と違い経験不足が露呈して、ガチガチに緊張してプレイボール後、3回くらいまではぎこちないものでした。
 しかし、これは西成だって同じことでした。また、肝心な時に審判のジャッジがあり、痛いと思うのも場面の違いこそあれど相手チームにもあったので、引き引きで、これも言い訳にすぎません。そこで、以下の分析をしました。

 試合展開は、その夜、侍Japanの初のオープン戦、対オーストラリア戦の展開と全く同じでした。プロと比べたらあかんのですが、まったく、似たような展開にテレビを見ていて、うちの試合を思い出しました。

 うちは、まず、投手が未熟。常、ワンスリーとかスリーボールになる。リズムが悪いので守備が乱れるし、常にランナーを背負うピンチの連続、守備機会が長いので打者がタンパクになるのも当然。また、いい球を投げている時もあるのにリードが常識外、単調過ぎて粘られてヒットされてしまったりともう一度配球と球種、使うタイミングを考えていかなければ、勝てないと感じた試合でした。外野からの返球を想定せず、あわてて捕球しても捕れないなど雑な守備や緊張して動きが悪く普段取れているボールを追いかけられなかったり、守備もミス連発。
 それに対して、相手の投手は低めに球を集めていました。しかも多くのピンチを切り抜けていました。

 打者は、西成は、振ってましたので、球にあてて、ボールを前に飛ばしています。大きな当たりはなく、いわゆる「間チャン」ヒットも多かったのですが、三回終わって確か7安打を放っていました。
 方やうちのチームは、当てるのが精いっぱい、振ってもボテボテ、カスリなど相手の守備ミスでのバントヒットや「間チャン」で、まともなヒットは1本のみ。相手のミスで点をとっただけでした。バッターの振りきりと思い切りが全然劣っていました。だから、負けたのです。敗因の根本原因です。

 攻撃でもうひとつポイントを挙げれば、試合感、野球感が全くない事です。ノーアウトとワンナウト、四球などで1塁3塁の場面が2度ありました。
 点差もなく、どうしても点が取りたい場面、もしくは、一気に逆転を取りたい場面でした。ここは、じっくり攻めたいと思うのが、監督の思いでしょ。
 しかし、監督がサイン出す間も考える隙間もなく、初球をたたいて、簡単にチャンスをつぶしてしまいました。がっくりです。
 ただ、打者にも言い分があります。監督が常日頃、初球からいい球を狙って叩いていけと教えているからです。つまり、この打者たちは、その教えを守っただけかもしれません。しかし、述べたようにここは、大チャンス。相手捕手の肩も考えて盗塁で2塁3塁になることも十分にあるのです。これこそが、野球感です。中学生には難しいかもしれません。教えと全く逆のことをするからです。ただ、監督も常に流れについても教えています。覚えていってほしいものです。
 野球というのは、難しい要素があり、点差、回の進行、ここ一番の山場など、練習と全く違う指示が出たり、何もない、打って投げての練習の世界での基本の教えと真逆のことをしないと行けないことがある、それが実戦や大会なのです。中学生や子どもには流れをつかむことが難しいのでしょう。しかし、失敗や実戦で学んだことをどれだけ吸収して自分の野球感を作っていくのかが問われているのだと思います。
 まだまだ、数えきれないほどボーンヘッドは山積しています。打球を見ないで走るものも多いのが、今のチームです。

常に挑戦者の気持ちで 緊張を楽しめるように野球をしてください 
 今大会前に練習試合を4周連続でしてきました。練習試合では、かなり、活躍する選手が増えてきました。ここに我々指導者も選手も勘違いする要素が生まれます。
 設立当初と比べかなり進歩してきたチーム、その中にあって、力不足といわれてきた新3年生もここにきて、指導者に手ごたえが芽生えるほど成長しています。だけど、客観的に見れば、細かいところが足りません。ボーンヘッドの多さが象徴しています。
 だから、勘違いしてはならないのです。我々は、常に挑戦者です。チャレンジャーなのです。ボーイズの「常識」にとらわれないチーム作り、つまり、キャラクターで勝負しない、誰でも硬式野球ができる少年野球チームを作りたい、やがては、成長する姿を見たい、それには、辞めてしまっては、見れないので辞めない選手を作ることを大切な旨としてきました。

 であるがゆえに、勝利に遠い存在と言われていましたが、そんなチームが躍進しようとしています。しかし、慢心せず、常に挑戦者の気持ちを持ち続けていきたい。

 選手は、緊張で満足に今大会、試合にならなかった。負けるべくしてまけた。それには、もう1歩、進まなければならない道のりがある。選手には、緊張を楽しめる選手になってほしいと思います。

 昔、横浜高校の松坂大輔が甲子園でノーヒットノーラン達成まじかに、内野が集まった8回、ショートが松坂に「大輔ノーヒットノーランやれ」とわざと意識させる発言をして、あの松坂でさえ、たじろいだと言います。やめてくれよと。そのショートも相当の根性がありますね。しかし、その緊張をばねにして野手も楽しみ、ノーヒットノーランを達成しました。松坂投手のような一流選手には程遠いかもしれませんが、その願いを込めて名指しこそしなかったけど今回は、厳しく振り返りました。選手の奮起に期待したいし、親御さんの温かい応援を選手に送ってほしい、怒らず、甘やかさず、暖かく見守ってフォローを続けてほしいと思います。

 さあ、堺ボーイズの挑戦が始まります。これまで以上の応援をよろしくお願いします。最後に土井監督、次は見ていてくださいね。この恩返しは必ず、いつの日か、そう思って練習とチーム作りに励んでいきたいと思います。土井監督ありがとうございました。今後ともお付き合いのほどよろしくお願いします。